ビジネス経験が強み！50代から行政書士で拓くセカンドキャリア
50代からの行政書士資格取得 ビジネス経験を活かすセカンドキャリア構築法
50代からのセカンドキャリアを検討される中で、「これまでの経験を活かしたい」「専門性を身につけたい」とお考えの方もいらっしゃるでしょう。そのような方にとって、行政書士資格は有望な選択肢の一つとなり得ます。行政書士の仕事は、ビジネスや日常生活に関わる幅広い書類作成や手続きの代行であり、長年培ってきた社会人としての経験や知見が大いに役立つ分野だからです。
この記事では、50代から行政書士を目指す魅力、資格取得の難易度や学習方法、そして取得後のキャリアパスについて具体的に解説します。これまでの経験を活かし、社会に貢献できる新しい働き方を見つけるヒントとしていただければ幸いです。
行政書士とはどのような仕事か
行政書士は、官公署（国や地方公共団体の機関）に提出する許認可等に関する書類の作成や提出手続きの代理、権利義務や事実証明に関する書類の作成等を行う国家資格者です。その業務範囲は非常に広く、約1万種類以上にも及ぶと言われています。
具体的な業務例としては、以下のようなものがあります。
- 許認可申請: 建設業許可、飲食店営業許可、運送事業許可、古物商許可などの申請書類作成・提出代行
- 法人設立: 会社設立（定款作成など）、NPO法人設立、医療法人設立などの手続き代行
- 外国人関連業務: 在留資格の申請・変更手続き代行
- 相続・遺言: 遺産分割協議書作成、遺言書作成サポート
- 契約書作成: 不動産賃貸借契約書、業務委託契約書などの作成・チェック
- 内容証明郵便作成
- 告訴・告発状作成
これらの業務を通じて、行政書士は個人や企業の権利を守り、スムーズな社会生活や経済活動を支援する役割を担っています。
なぜ50代からのセカンドキャリアに行政書士が向いているのか
行政書士は、50代からのセカンドキャリアにおいて、特に以下の点で魅力的な選択肢と言えます。
1. これまでのビジネス経験や人生経験が活かせる
行政書士の業務は多岐にわたるため、会社員時代に培った様々な経験が直接的に役立ちます。例えば、
- 営業・企画職: 顧客との折衝能力、課題解決能力、提案力
- 管理部門（総務・法務・経理）: 法令知識への抵抗のなさ、書類作成能力、契約実務の知識
- 建設・不動産・飲食など特定の業界経験: その業界特有の許認可申請業務に関する深い理解
- マネジメント経験: 独立開業した場合の経営力、従業員を雇う場合の労務知識
といった経験は、行政書士として専門性を深めたり、依頼者からの信頼を得たりする上で大きなアドバンテージとなります。また、人生経験からくる高い共感力や傾聴力は、依頼者の抱える複雑な事情を理解し、適切なサポートを行う上で非常に重要です。
2. 独立開業の可能性がある
行政書士は、比較的少ない資金で独立開業が可能な資格です。これまでの人脈や経験を活かして、自分の裁量で仕事を選び、働く場所や時間をある程度自由に決められる点は、セカンドキャリアとして大きな魅力となります。事務所を開設する以外にも、自宅を事務所とする、または提携している専門家（税理士、司法書士など）の事務所の一部を間借りするといった方法も考えられます。
3. 社会貢献性の高い仕事
行政書士の仕事は、様々な手続きで困っている個人や中小企業をサポートし、彼らが直面する問題を解決に導く社会貢献性の高い仕事です。「ありがとう」と感謝されることで、大きなやりがいを感じることができます。
行政書士試験の概要と難易度
行政書士試験は、一般財団法人行政書士試験研究センターが実施する国家試験です。例年11月の第2日曜日に実施されます。
試験科目は大きく分けて以下の2つです。
- 行政書士の業務に関し必要な法令等:
- 憲法、行政法（行政法の一般的な法理論、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法、地方自治法）、民法、商法、基礎法学
- 行政書士の業務に関し必要な一般知識等:
- 政治・経済・社会、情報通信・個人情報保護、文章理解
合格基準は、以下の全ての要件を満たすこととされています。
- 行政書士の業務に関し必要な法令等科目の得点が122点以上
- 行政書士の業務に関し必要な一般知識等科目の得点が24点以上
- 試験全体の合計得点が180点以上（満点300点）
合格率は例年10%台前半で推移しており、難易度の高い試験と言えます。特に、出題範囲が広く、法令等科目だけでなく一般知識等科目も対策が必要です。働きながらの学習となると、計画的かつ効率的な学習が求められます。
50代からの行政書士試験に向けた学習方法
難易度の高い試験ですが、適切な方法で学習を進めれば合格は十分に可能です。50代から行政書士を目指す方におすすめの学習方法をご紹介します。
1. スクール・通信講座の活用
独学も不可能ではありませんが、広範な試験範囲を効率的にカバーするためには、予備校や通信講座の利用が現実的です。
- 予備校（通学・オンライン）: カリキュラムに沿って体系的に学べ、疑問点を講師に直接質問できるメリットがあります。他の受講生との交流も刺激になります。
- 通信講座: 自分のペースで学習でき、時間や場所を選ばない点が大きなメリットです。高品質なテキストや講義動画、質問サポートなどが提供されています。50代で仕事や家事との両立が必要な方には特におすすめです。
スクールや通信講座を選ぶ際は、サポート体制（質問のしやすさ、添削の有無など）や教材の分かりやすさを比較検討することが重要です。
2. 計画的な学習スケジュールの策定
行政書士試験に合格するためには、一般的に600～1000時間程度の学習時間が必要と言われています。ご自身のライフスタイルに合わせて、無理のない、しかし継続可能な学習スケジュールを立てることが非常に大切です。
- 1日の学習時間: 平日は仕事後や朝活で1～2時間、休日はまとめて3～5時間など、確保できる時間を具体的に決めます。
- 期間: 合格目標時期から逆算し、各科目にどれくらいの時間をかけるかを割り振ります。一般的には、法令科目に重点を置く必要があります。
- 進捗管理: 週ごと、月ごとに学習目標を設定し、定期的に進捗を確認します。遅れている場合はスケジュールの見直しを行います。
3. 過去問演習の徹底
行政書士試験は過去問が非常に重要です。テキストでインプットした知識を、実際の試験形式でアウトプットする練習を徹底的に行います。
- 単に正誤を確認するだけでなく、なぜその選択肢が正解（不正解）なのかを理解することが重要です。
- 間違えた問題は、テキストに戻って復習し、理解を深めます。
- 複数回繰り返して解き、問題パターンに慣れることが大切です。
4. 法改正情報のキャッチアップ
法令は改正されることがあります。最新の法改正情報を常にキャッチアップし、学習内容を更新していく必要があります。予備校や通信講座を利用している場合は、法改正に関する情報提供や追加講義があるか確認しておくと良いでしょう。
行政書士資格取得後のキャリアパス
行政書士資格取得後のキャリアパスは、主に以下の3つが考えられます。
1. 独立開業
行政書士として独立開業し、個人や企業からの依頼を受けて業務を行います。これまでのビジネス経験を活かし、得意な分野に特化することも可能です（例：建設業専門、相続専門など）。事務所の経営、顧客開拓、実務スキルなど、資格試験の知識に加えて様々な能力が求められますが、自分のペースで自由に働ける最大の魅力です。
2. 企業内行政書士
企業の法務部や総務部などで、企業内の行政手続きや契約関連業務を担当する「企業内行政書士」として勤務するという道もあります。特に許認可申請が多い業種（建設、運送、不動産など）では、社内に専門家がいると重宝されます。安定した収入を得ながら、これまでの企業での経験を行政書士の知識と組み合わせて活かすことができます。
3. 行政書士事務所の補助者
行政書士としてすぐに独立するのではなく、既存の行政書士事務所で補助者として勤務し、実務経験を積むという選択肢もあります。書類作成や手続きの補助を通じて、実務の流れや専門知識を実践的に学ぶことができます。独立を目指す上での invaluable なステップとなり得ます。
50代からの行政書士挑戦における注意点
行政書士資格は魅力的な一方で、挑戦する上でいくつか注意しておきたい点があります。
- 学習時間の確保: 難易度が高いため、まとまった学習時間が必要です。現在の仕事や家庭との両立が可能か、現実的に検討する必要があります。
- 試験範囲の広さ: 法令科目、一般知識科目ともに範囲が広く、苦手分野を作らないようにバランス良く学習することが求められます。
- 独立後の集客: 独立開業した場合、自身の力で顧客を獲得する必要があります。これまでの人脈やマーケティングスキルが活かされますが、開業当初は収入が不安定になる可能性も考慮しておく必要があります。
- 継続的な学習: 法令は常に改正されるため、資格取得後も継続的に学習し、知識をアップデートしていく必要があります。
これらの点を理解した上で、しっかりと準備を進めることが成功への鍵となります。
まとめ
50代から行政書士を目指すことは、これまでの豊富なビジネス経験や人生経験を活かし、社会に貢献しながらセカンドキャリアを築くための大変魅力的な選択肢です。試験の難易度は高いですが、計画的な学習と適切な方法を選べば、十分に合格を目指すことができます。
資格取得後には、独立開業、企業内行政書士、補助者といった多様な働き方があり、ご自身の希望や状況に応じて選択が可能です。
行政書士として、長年培ってきた経験を行政手続きや書類作成といった専門業務に活かし、新しい分野で活躍されてみてはいかがでしょうか。この記事が、あなたのセカンドキャリアを考える一助となれば幸いです。